北九州市でヨガスタジオを開いた私が、ヨガを始めたきっかけについてお話しします。
ヨガと出会ったのは、10年以上前。
会社員として忙しく働きながら、毎日のようにジムで汗を流すのが習慣でした。
でも友達とお酒を楽しんだり、少し不規則な生活をしていた頃――
ある日、突然顔に湿疹が出てしまったんです。
お酒も運動も控えるように言われて、
大好きだった習慣がすべてできなくなりました。
化粧もできず、人の目も怖くて外に出るのもつらい時期。
なかなか治らない湿疹に、心もどんどん落ち込んでいきました。
そんなとき、ふと参加したヨガのクラス。
軽く体を動かし、深く呼吸を整えたあとに迎えたシャヴァーサナ。
その静かな時間に、溜め込んでいた不安や苦しさがふわっとほどけて、
気づいたら、仰向けで静かに涙が流れていました。
「体だけじゃなく、心も整うんだ」
ヨガの奥深さに心を動かされ、この感覚をもっと多くの人に伝えたい!と思い、
インストラクターになる決意をしました。
先日、自分のスタジオをオープンしたとき、
昔の私を支えてくれた友人が泣きながら「本当に良かったね」と言ってくれました。
あの頃の私を知っているからこそ、
「ここまでよくがんばったね」と、心からの言葉をくれました。
ヨガには、サンスクリット語の「マントラ」があります。
その中でも私が好きなのはこの言葉です。
それは完全である。
これは完全である。
完全なものに何かを加えても完全である。
完全なものから何かを引いても完全である。
このマントラを耳にすると、当時の気持ちがよみがえります。
自分の大切にしていた習慣がなくなったとき、心が大きく揺れたけれど、
この言葉がそっと支えてくれました。
今、ヨガを伝え始めて11年目。
やっとスタジオという形になって、私は今、ようやくスタートラインに立った気がしています。
ヨガに救われた経験があるからこそ、
私も誰かの心と体をそっと包み込む、そんな場所をつくっていきたいと思っています。